②コリと「筋膜」

 

column_thumb_20220315_03

同カテゴリの前回コラムで、筋肉が硬くなる「コリ」という現象では「筋膜」が主役級の悪さをしている、とお伝えしました。
今回はまずその辺を詳しく見ていきましょう。

筋膜というのは本来、コラーゲンとエラスチンというタンパク質線維の間をヒアルロン酸たっぷりの水分が満たした、みずみずしい組織です。
しかし筋肉に一定の負荷が長い時間かかり続けたり、あるいは繰り返し繰り返しかけられたりすると、筋膜から水分が抜けて「萎縮」したり、周囲の組織と「癒着」したりして、硬くなってしまう性質を持っています。
これはもしかすると、形状安定と結束のための組織である筋膜が、負荷に対して筋線維を守ろうとする防衛反応なのかもしれません。
いずれにせよ水分を失って硬くなった筋膜は、筋線維の滑走性を阻害する、つまり筋肉が縮んで戻ろうとする働きを邪魔するようになってしまうのです。

例えばスマホ首のように頭蓋骨が重心線の前に出た姿勢を取り続けると、重い頭を支えようとする負荷が首まわりや上背部の筋肉にかかります。
すると上述した通り筋膜から水分が抜けて硬くなり、筋肉の形状を固定してその姿勢をクセにしてしまう。
結果、多用するその姿勢が安定的に取りやすくなったり、頭蓋骨がそれより以上に前に出るのを防ぐといった、ある意味プラスと呼べる作用はあれども、代償として首を動かしづらいとか無理に動かすと痛いとか、時に寝違えたりとか、あるいは筋肉のポンプ作用が弱まって頭痛が起きたりもするわけです。

このような状態が長く続くと、今度はいよいよ筋線維の方にもちょっと厄介な変化が出てくるのですが…。
それについては同カテゴリの次回コラム「コリと筋線維」に書かせていただきます。

カテゴリー:

ページの先頭へ

ページの先頭へ