④ホルモンの問題で発生するむくみ+リンパ管の問題で発生するむくみ

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同カテゴリの前回記事までで、むくみの原因が血液にある場合と血管にある場合を見てきました。
今回の記事で紹介するのはホルモン異常と、最後にいよいよリンパ管です。

むくみの原因❹ホルモン異常による代謝低下
…橋本病のような「甲状腺機能低下症」に罹ると、代謝が低下することでヒアルロン酸などのムコ多糖類が皮下に溜まります。ムコ多糖類も水分を留める性質を持つため、むくみとなって現れます。
このむくみは粘液水腫と呼ばれ、水分がメインとなる他の多くのむくみでは指で押すとしばらく圧痕が残るのに対し、こちらは押しても痕が残らないという特徴を持っています。足だけでなく手や顔にも出て、顔では特にまぶたがむくみやすい傾向にあります。
疑わしい場合は病院で血液検査をして特定し、甲状腺ホルモン剤を常服することで良くなります。

むくみの原因❺リンパ管の閉塞
…リンパ系のどこかで流れが遮断されたり滞ったりすると、間質液中の蛋白質や老廃物が排出されずに濃度を増すため、結果として間質液の浸透圧(=水分を留める力)が高まってしまい、むくみを生じます。これを「リンパ浮腫」と呼びます。
この症例で圧倒的に多いのは大きな手術後、典型的には乳がん・子宮がん・前立腺がんなどのオペでリンパ節やリンパ管を切除したり、もしくは放射線療法を行ってリンパ節が損傷したために起こるケースです。
中には生まれつきリンパ管の数が少なく、成長して体が大きくなるにつれて増える間質液の量に対し、リンパ管で回収できる量が追いつかなくなってリンパ浮腫を発症する方もいます。
(あと日本国内においてはあまり考えなくていいでしょうが、熱帯地方ではフィラリア感染により発症するケースが知られています。)
いずれのパターンでもリンパ浮腫は、間質液から細菌を排出できなくなっている免疫不全の状態であり、むくんでいる箇所に細菌が入ると一気に広がり、蜂窩織炎や急性リンパ管炎を引き起こす危険性があります。自然に治る病気でないため、症状の重さに合わせた適切なケアないし治療が必要です。

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