「リンパのつまりを取ってむくみ解消」といったようなフレーズを、リラクゼーションの宣伝文句で目にすることがありますけれど、厳密な意味で「リンパ管のつまりに起因したむくみ」に我々が対処する機会は、そんなに多くないと思います。
実は一口に「むくみ」と言っても、その原因は血液にあったり内臓にあったり様々で、話題にしているリンパ系の問題以外にも様々な要素を考慮せねばなりません。
中には病院で早急に診てもらうべき疾患が原因で起こるむくみもありますから、ここでザッとむくみの誘発因子を確認しておきましょう。
むくみの原因❶血管内水分量の上昇
血管内の血液と細胞間の間質液には、どちらもアルブミンという蛋白質が含まれており、このアルブミンが水分を引き寄せる役割を担うことにより、血管内外の水分バランスは保たれています。
通常は血液の方が間質液より高い濃度でアルブミンを含むため、血管内に水分を留める力がしっかり働いているのですが、何らかの理由で血管内の水分量が増えてアルブミン濃度が低まると、過剰な水分が血管外へと滲み出てむくみを起こすのですね。
そういうわけで経口で水分を過剰摂取すればむくみますし、塩分も摂り過ぎると血管内の水分量を増やす性質があるためむくみの元。
ただしこれらは時間が経てば自然と引く一過性のむくみなので、過度な心配は無用です。
気を付けるべきは例えば「心不全」で、心臓の働きが弱って循環が滞ると血管内に余分な水分が溜まり、長期的なむくみを引き起こします。
動悸・息切れや胸痛があったり、夜に息苦しくて横になれないといった兆候が合わせて見られる時には、一度病院で診てもらった方がいいでしょう。
それと「腎不全」も、尿による水分および塩分の排泄が悪くなることで長期的なむくみを伴います。
尿の出の悪さが併発していたなら要注意。
あとは「下肢静脈瘤」といって、足の静脈の弁が正常に働かなくなって血液が逆流してしまう病気があり、これも血液量の増加から足にむくみを起こします。
最初は毛細血管が浮き上がる程度ですが、徐々に静脈がコブのように膨らんできて、長年放置しておくと皮膚が黒ずんだりボロボロになってきたりします。
緊急性はないものの自然に治る病気でなく、悪化する前に早めに対処したいところです。
ただし同じ静脈でも「深部静脈血栓症」、いわゆるエコノミークラス症候群の時には早急な対処が必要です。
病気や怪我で寝たきりになったり、あるいは乗り物に乗ったりなどして長時間同じ姿勢を取っていると、静脈の中に血栓ができてつまり、片方の足が急速に赤く腫れてくることがあります。
血栓が足から飛んで肺の血管につまると命に関わるので、すぐに医療機関に相談すべきです。
他に女性特有の症例になりますが、子宮筋腫により血管が圧迫されて下肢にむくみをきたす、というパターンもあるようです。
血液の問題で発生するむくみ(前編)
2022.05.13 更新
カテゴリー:
むくみのタイプとケア方法